毎日行われている桜の園最大の特徴といえる排泄ケアと療育音楽。その相乗効果はとても素晴らしいものです。



排泄ケア
介護が必要なお年寄りの日常生活の理想は、快眠、快食、快便。健常者にとっては、排泄したいときに便座に座って行うことが当たり前のようですが、オムツ交換を行っている毎日に疑問を持っていたころに三好春樹氏との出会いがありました。
 平成7年5月福岡にて「排泄ケア研修会」の「オムツをすることは、人間の生き甲斐をなくしている」との言葉に参加者一同共感し、早速「オムツはずし」に取り組みました。
 まずは、排泄の意思表示ができない方の排泄パターンの把握から始めました。2時間ごとにトイレに誘導し、便座に座っていただき、約3週間後には、全員の「オムツはずし」に成功しました。また、成功の要因にはハード面での有利性も考えられます。施設は平屋建てであり、広くバリアフリーのトイレであったことが幸いしました。
 トイレ誘導を行って行く中で、寝たきりが防止でき、座位が取れるようになり、さらに便秘が改善されたり、と、あらゆる面において効果が出てきました。また、同時に行っていた療育音楽との相乗効果により、お年寄りの皆様がお元気になり、表情が豊かになられました。これを機にお風呂を檜の一人浴槽に改装し,家庭での入浴の雰囲気を味わえると大変好評をいただきました。
 この成果が評価を受け、平成10年7月宮崎県で行われた九州老人福祉施設研究大会及び翌年11月大阪府で行われた全国老人福祉施設研究会議においても研究発表を行うことができました。
 今後もこの排泄ケアはもとより、入所のお年寄りの皆様が一人の人間として人間らしく尊厳をもった生活を送られることを念頭においたケアを実施してまいります。                                                    桜の園10周年記念誌より





すっきりしてニッコリ
                   

広いバリアフリーのトイレ

檜の一人浴槽・庭を眺めながらゆっくりと・・・

きちんとチェックします









療育音楽


 桜の園開設2年を過ぎ入所されているお年寄りの皆様の、いきがいづくりを模索していたころ、ケア向上を目的とし、定期集まり勉強会を開いている施設グループのメンバーである福岡県遠賀園の安高園長のご紹介により、北九州市で行われた「療育音楽指導者研修会」に参加したのが、赤星建彦先生(財団法人東京ミュージックボランティア協会・会長)と「療育音楽」との出会いでした。
 早速、研修会終了後「療育音楽」を開始しました。当初は週一回の音楽クラブとして発足し、のちに担当職員を研修会に順次参加させ知識・技術を習得することにより、また、業務の変更や人員配置など方に毎日1時間のA・B・Cプログラムに分け、お年寄りのレベルに合わせたきめ細かい療育音楽を実施しています。
音楽は皆様の心を癒し、懐かしい歌を口ずさみ昔を回想することによる痴呆防止の効果があり、また、楽器を演奏することによる身体のリハビリ効果もみられ、入所のお年寄りの皆様に元気と笑顔をもたらしました。さらには音楽では小太鼓を担当されていたYさんは心疾患により寝たきり状態になられたが、赤星先生が当園に来られた際に、枕元で一緒に『りんごの歌』を歌っていただき、そのあと再び小太鼓のスティックを握り演奏されるまでに回復されたことは、まさに奇跡と言っても過言ではないと思います。
 「療育音楽」の創始者である赤星先生は多忙の中、何回も当園に足を運ばれ入所のお年寄りに対し、音楽への素晴らしさを伝えるだけではなく、職員の指導者育成にも力を注いでいただきました。当園職員の療育音楽指導者研修修了者も20名を超え、ますます充実した療育音楽が行えるようになりました。また、当園で毎年行っている杵藤地区の難病の方たちとの「難病者の集い」も今年で5回目を迎え、地域の皆様にも「療育音楽」が浸透しつつあるように思えます。「療育音楽」は能動的なプログラムであり、自ら楽しく歌ったり、身体を動かすことで血流を良くし、脳に直接働きかけるリハビリテーションです。今後も、「療育音楽」のみならず、入所のお年寄りの皆様の心身の健康回復・維持・予防に努めてまいります。                        桜の園10周年記念誌より



練習風景



日野原重明先生(左・聖路加国際病院院長)との対談
2003年9月23日NHK「現役人生まっしぐら」にて放映
右:赤星建彦先生





リズムに乗って!
去る7月10日、赤星建彦先生にお越しいただき毎年恒例のサマーセッションが開催されました。
午前中はケアハウスの入居者の方々と、午後は特老の入所者の方々、デイサービス、そのほか多くの方々にご参加いただき、大変楽しい時間をすごしました。リクエストに答えて演奏をする場面では、「かごの鳥」、「海」などたくさんのリクエストに応じて先生の電子オルガンの演奏にあわせて皆で調子よくリズムを取りました。今年満百歳を迎えられ、デイサービスにお越しいただいているI様は大変楽しくひと時を過ごされ、最後にI様より「人生劇場」を歌っていただき会を締めくくりました。

                  バンザーイ!

           ミュージックテーブルを使って

百歳の方々と赤星先生
 
 昨年、基礎Tの講座を受講し、約1年間、先輩方のご指導の下、療育音楽に携わってきました。そして今回、赤星先生来園の際、セッションリーダーという大役を仰せ付けられました。初めての体験でしたので、自分が上手くできるのか、利用者の方々が日頃と同じような反応をしてくれるのか等、多くの心配がありました。しかしセッションが始まると、やはり赤星先生の力でしょう、利用者の方々は私の想像以上の反応を示してくれました。
 私は『ゆっくり・大きく・はっきりと』という課題を持ってセッションに臨みましたが、緊張のあまり自分が何を言ったのか、何をしたのかよくわからなかった、というのが本音です。しかし、利用者の方々が一生懸命私の方を向いて、輝くような眼差しで、歌いながらスズを振っておられた事は生涯忘れられません。
 100人を超える大人数ということで、いつもとはまったく違った空気の中、とても印象的だったことが二つありました。一つは、デイサービスの利用者の方で一度脳梗塞になられたことのある100歳の方が「人生劇場」をリクエストされ、元気に熱唱されたことです。100歳ということを感じさせない歌いっぷりで、会場を盛り上げてくださいました。もう一つは、要介護5で日常的にも表情に乏しい入所者の方が、自由の利かない手でスズを握り、一生懸命に身体を揺すりながら、涙を流されていたことです。このことにはとても驚かされました。これらのように、赤星先生のセッションでは、鳥肌が立つくらいの本物の療育音楽の凄さというものを肌で感じることができました。そして、私にとって、利用者の方にとって、とても貴重な一日になりました。
 日頃の療育音楽においてもこの時のような利用者の表情・意欲・活気を引き出せるよう、目標・課題を持ち、自分の出来ることを精一杯やっていきたいと思います。
 赤星先生、またのご来園を利用者の方々・職員一同心よりお待ち申し上げております。


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